「たまがる、たまがった」の語源に異議あり!
「たまがる」という言葉が西日本の方言だと最近知ったのですが、辞書によれば、「正しくは、たまげる⇒魂消る、であり、語源は、魂が無くなるほどビックリすること」とあります。
ですが、私自身の現場経験から、この語源に異議を唱えたいと思います。
30年前に所長になって初めての工事は、アジアの某国における地盤改良の小さな工事(日本人は私1人)で、既設某プラントのⅡ期拡張工事で載荷砂(50万㎥)を8,000馬力のポンプ船で既設プラントに隣接して載荷します。載荷砂の施工に先駆けて高さ約3mの築堤を現地の砂地盤を削って構築し、築堤の中に海水と一緒に砂を吹き込みます。吹き上げる量の70%は海水です。もし、築堤が決壊すれば隣接するプラントに約50万㎥の海水が流れ込みます。プラントを一日止めたら1億円の補償と言われており、排水パイプは設置していますが、ポンプ船の運転を止めても急に水位は下がらないので、目安として築堤天端からの水位が約50㎝で運転停止としていました。私は載荷開始から現場で3日連続徹夜をして水位を観察し、水位が上がればポンプ船の運転を止めて水位が下がるのを待って運転を再開するように管理していました。
4日目にローカルスタッフから「お前は疲れているから、今夜は僕が代わります」と言われて家に帰ったのですが、ポンプ船の日本人船員とローカルスタッフが上手くコミュニケ―ションが取れるか心配になり、夜の最終フェリーボートで現場に戻って水位を見たら築堤天端から約30㎝の所まで水位が上がっており、正に股間にめり込むほどの‘玉がった’になりました。
即座にポンプ船の運転を止めましたが、水位は急には下がらずドンドン上がり続けて、ついに築堤天端まで20㎝以下になりました。
この時、頭に浮かんだのは翌日の地元新聞の一面記事です。「某プラント冠水」
幸運にもそれから水位は下がり、大事には至りませんでしたが、その後どの様な対策を取れば工事が継続できるかを考えることも出来ず、自分の無力さを痛感した工事でした。築堤を補強するにも隣がプラントで重機が入れるアクセスが無いのです。これを救ってくれたのが、その当時の上司であったシニアの豊富な経験でした。
皆さん、どうですか?
語源は、「玉上がる⇒たまがる」ではないかとの私説。
(既にごく一部ではありますが、この説もあります。)
【30年前の新米工事所長】